Link
フォロー中のブログ
最新のコメント
カテゴリ
検索
以前の記事
ブログパーツ
画像一覧
|
2014年 06月 03日
たんぽぽ隊通信 第1015号
なんだか忙しい。 あっという間に時間が流れ、月日が経っていく。 大したことをしてる毎日でもないのに。 この「忙しい」感は、年々増していく。 子育ても、スネを齧られる以外はとっくに終わっているのに。 長年入ってる読書会では、月例会のほかに毎年6月に「合宿」なるものがある。 何のことはない、都内の古ぅ~い旅館で一夜ぶっ通しで宴会をする というのが趣旨で、かれこれ20年以上になる。 月例会と同じようにもちろん「課題本」があって、合宿というからには 日ごろ読めない長編にチャレンジする、という不文律がある。 今年の課題本はトーマス・マンの『魔の山』だった。 こういう機会でもないと、一生手にしないであろう本だ。 合宿は今週末なので、ホントは今ここで書くのは禁じ手なんだけど、 上下巻合わせて1500ページあまりある本を、私は読んだ。 読んだぞーっっっ!!! て叫びたいけど、実のところ読んでない。 いやページはめくったけど、斜め45度に流し読んだ。 1924年に初版が出たこの本は、スイスにあるセレブ向け国際的サナトリウムで ほんの3週間の滞在のつもりが、結局、第一次大戦に遮られるまでずるずると 7年もの月日を過ごすことになった主人公、ハンス青年の療養記である。 何もすることのない山の上で、ハンスは、 寝る→食べる→寝る→食べる・・と1日5回もの豪勢な食事とゴロ寝を 繰り返す。その合い間にやることといえば「思索」である。 インターネットもゲームもない時代、彼は本を読み、膨大な専門外の知識を 身につけ、ただ考える。考えに考える。周囲の人間も似たようなもので 「肉体と精神のどちらが高尚か」みたいな議論を果てなく繰り広げる。 なんでしょう、この時間の遅さ。 古今東西、どんなに技術が進化したって時間の長さは同じなのに、 時の流れはどんどんスピードアップしてる気がする。 仕事をし、家事をし、余暇で本を読みたい映画も見たい走りたいガマ口作りたい あれもこれも、と考えると1日はあまりにも短くぼーっとするヒマがない。 あと3時間あれば睡眠時間にあてたいけど、もしそうなればきっと私は 他のことをするだろう。今は電車を待つ間も、エレベーターに乗ってる間も スマホを開いてニュースを読んだりLINEに書き込んだりする。 この「たんぽぽ」だって、電車の中で書くこともある。 深度を追求する思考、って今の世に生きる人びとの脳には構造的にムリ なんじゃないかと、長大な課題本を手に、しみじみ思ったワケであるよ。 昭和の十代のころには、まだそーゆーアタマの運動もあったんだけどね。 息子などのスマホさばきは私よりもさらに速く、びゅんびゅん画面を送って ささーーーっと理解し、へー!と言い、ぎゃははと笑い、連打で返信する。 しかし彼がケータイを持ったのは中学時代だし、スマホなんてここ2,3年だ。 この前電車で乗り合わせた小学生たちは、半分くらいがスマホを持ってたし 今や幼児ですら、ちっこい指をスルスル画面に這わせている。 アタマの情報処理構造は、知らず知らずのうちに変化してるんだろう。 それは「栄養がよくなって体格が良くなった」とか、「最近の子は足が長い」とか 「食生活の変化で顎が細くなった」とか、目に見えるものではないけど。 この先数年で、東西古今の古典的な「名作」は、いよいよ読まれなくなるのかもなあ。 と、しみじみ実感した『魔の山』でした。 ちなみに、この本は1982年に映画化されていて、140分余りとなっている。 おお、これをどうやってそんなに短くしたのよ? そっちを見て済ませば良かったかな、とヘタレたことを考える多忙なワタクシ。 ・・・ さて、お忙しい皆さまに、小さなハッピープレゼント。 四つ葉のクローバーがひとつだけあるので、見つけてね。
by tampopotai
| 2014-06-03 12:00
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||